三味線持参での海外渡航と税関

昨日まで10日間ほど渡仏しており、音楽学校やバラ園でのコンサートに出演して参りました。
三味線には「糸巻き」や「駒」、「撥」など至る所に象牙が用いられています。象牙製品はワシントン条約(CITES)によって商業取引が禁止されているので、原則として自由に海外に持ち出すことができません。
もちろんそれでは、海外での歌舞伎公演や、三味線の演奏ができないことになってしまいますので、簡単にその手続き方法をまとめてみました。
税関を通過するタイミングとして以下の4つが挙げられます:
【出国】
1.日本(成田空港)からの出国
2.渡航先(フランス)への入国
【帰国】
3.渡航先(フランス)からの出国
4.日本(成田空港)への帰国
税関業務に精通している友人のアドバイスを参考に、成田税関に電話で問い合せたところ、1.と4.については割と簡単です。
外国製品の持出し届を、1.の時点で税関窓口に提出して印をもらっておくだけです。
つまり、日本の税関であれば三味線が楽器であることは一目瞭然だし、海外での演奏目的で「日本から持参し、日本に持って帰る」ことが保証されれば、販売目的ではないからOKということです。
さて、問題は2.と3.になります。
渡航先税関審査への対応策として、以下の3つが考えられます。
(Aが最もパスする可能性が高く、B、Cと可能性が低くなる)
A.CITESの輸出入許可証を取得して三味線と一緒に持参する
B.ATAカルネを事前に申請しておき持参する
C.楽器の詳細説明書を前述の[外国製品の持出し届]に添付して、税関印をもらって持参する
◆A.CITESの輸出入許可証を取得
これは現実的には難しい選択肢です。三味線の糸巻き、撥などに使われている象牙の原材料が、1974年以前に輸入されたことを示す資料を、経済産業省に提出しなければなりません。演奏者個人がこれをするのは非常に困難です。
◆B.ATAカルネを事前申請しておく
ATAカルネについての詳しい説明は、以下のサイトをご覧下さい:
社団法人 日本商事仲裁協会 ATAカルネ事業部
ATAカルネの加盟国であれば、国際共通の書式ですので、税関審査をパスすることができます。ただ、発給手数料14,000円に加え、担保措置料として最低1,200円(楽器の価値が30万円以下の場合)が必要です。
フランスの税関に問い合せたところ、このATAカルネの利用を薦められました。時間と資金に余裕があれば、一番現実的で有効な方法かと思います。
成田税関の入り口手前にインターホンがあって、「ATAカルネ利用者は事前に税関窓口にご連絡下さい」という旨の掲示があります。
◆C.楽器の詳細説明書を[外国製品の持出し届]に添付する
これは、成田税関でも念押しされますが、渡航先によっては全く効果をなさない場合があります。この[外国製品の持出し届]自体が、国際的な共通様式ではなく、日本のみで有効なためです。
楽器の詳細説明書に成田税関印は押してもらえるので、渡航先(フランス)税関で内容検査を受けたときに、「販売目的ではない」ことを説明する手助けにはなると思います。
私は、時間的にも予算的にも厳しかったので、C.の選択肢を取りました。結果的には、1.~4.どの過程でも一度も楽器ケースを開けられることすら無かったので、杞憂だったわけです。
ただし、大事な楽器が没収されては困りますから、事前に周到な準備をされていくことをオススメします。
参考までに、以下の資料を添付します。
◎C.楽器の詳細説明書を[外国製品の持出し届]に添付して押印された状態custom_1.jpg
三味線の詳細説明書(英・仏・日)
※ちなみに仏語は自動翻訳で作ったので、ちょっと間違いがあるそうです。まあ意味は通じるそうですが・・・
◎三味線の詳細説明書(添付写真)
custom_3.jpg
hozumi

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