江口の里(4/26 二題の会)

明日の二題の会は、2月・3月とお休みでしたので、3ヵ月ぶりの開催です。
その2曲目「時雨西行」の舞台となるのが、『江口の里』です。
『江口の里』は大阪市東淀川区、淀川と神崎川の合流する付近になります。
平安時代の末頃、神崎川流域には多数の荘園が開発され、この神崎川河口部である江口一帯は、交通や物流の要所として栄えました。
特に、平安末期は栄枯盛衰の激しい戦乱の世であったため、落ちぶれた貴族の子女や官女が、この地で舟遊女となって、一大歓楽街を形成していました。
「時雨西行」に登場する、舟遊女・妙(たえ)もまた、そのような身の上でした。
諸国行脚の僧、西行が天王寺参詣で江口へ差し掛かったところ、俄かに雨が降って来たため、妙(たえ)に一晩の宿を求めます。妙は、当初その求めに応じず、無下に断ります。
その時の西行と妙の唄のやりとりが、新古今和歌集に収録されています。
『世の中を厭ふまでこそ難からめ 仮の宿りを惜しむ君かな』 西行
『世を厭ふ人とし聞けば仮の宿に 心留むなと思うばかりぞ』 江口妙
多少、言外の意を補って
解釈するならば、
『俗世を完全に絶って出家するのはなかなかに難しいことだが、仮の宿を提供することまでも惜しむものだろうか』 西行
に対して、
『(いえいえそうではなくて)出家した僧である貴方が、舟遊女である私の宿にとどまるべきではない、と考えた故のことです』 江口妙
という返歌になるでしょうか。
この出会いを通じて、西行に説得され、妙はこの後出家して尼僧となります。
そして、この地にとどまり、遊女や白拍子の悩みを聴いて手助けをしたと伝えられています。
長唄二題の会(第三十五回)
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長唄二題の会
<第三十五回>
【日時】2011年4月26日(火) 開場18:30 開演19:00
■「傾城」
   唄 :杵屋三七郎
  三味線:杵屋五助・東音大木啓衣
■「時雨西行」
   唄 :杵屋三七郎・東音小林百合
  三味線:東音穂積大志・(上)東音大木啓衣
【会場】お江戸上野広小路亭
   (台東区上野1-20-10 TEL:03-3833-1789)
【料金】2,000円
   (全席自由)
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